アスリートの過回内問題
スポーツのパフォーマンスを左右する足の問題
「走ると膝の外側が痛む」
「シンスプリントを繰り返す」
「アキレス腱の痛みを繰り返す」
「ストップやジャンプの時に踏ん張りが上手く効かない」
これらの問題、実は「過回内(かかいない)」というアスリートに多い足の問題が原因かもしれません。
過回内は、スポーツ障害の最も一般的な根本原因の一つであり、同時にパフォーマンスを制限する大きな要因です。
このページでは、アスリートと過回内の関係、そしてパフォーマンス向上のための改善方法を、足病学の観点から詳しく解説します。
なぜスポーツ選手に過回内の問題が多いのか
足や膝の症状でお困りのスポーツ選手(特にランニングやジャンプ動作の多い競技)をみると、過回内の傾向がある方が非常に多く見られます。
もともと足が内側に倒れやすい構造に加え、スポーツ特有の高い負荷がかかることで症状が出やすくなります。
過回内についてはこちら

1. 繰り返しの高負荷
ランニングでは、着地時に体重の2〜3倍、ジャンプの着地では5〜7倍もの衝撃が足にかかります。
過回内傾向のある足にこの負荷が繰り返しかかると、足のアーチを支える筋肉や靱帯が疲労し、スポーツ障害が出やすくなります。
2. スピードと方向転換
バスケットやバドミントンなどでは、急な方向転換やストップ動作が頻繁に起こります。
これらの動作では、足に前後左右の強い力が加わり、足や膝に負担が集中します。
3. 未発達な足の構造
運動を盛んにする成長期のお子さんは、足の骨や筋肉が未発達な状態で高強度のトレーニングを行います。足のアーチ構造が不安定なまま負荷を受け、過回内傾向が強くなります。
アスリートのための過回内セルフチェック
こんな症状や経験はありませんか?
☑ ランニングシューズの内側(特に踵の内側)が外側より早くすり減る
☑ シンスプリント(すねの内側の痛み)になったことがある
☑ ランナー膝・ジャンパー膝を経験している
☑ 長距離を走ると膝の外側が痛む
☑ 足底筋膜炎を繰り返す
☑ 扁平足、または土踏まずがほとんどない
☑ ジャンプの着地で足首が内側に入る感覚がある
☑ 走っている時に体が横にブレる、軸が安定しない
☑ 疲労すると膝が内側に入る(X脚気味になる)
☑ スピードを上げると足の内側に負担を感じる
3つ以上当てはまる方は、過回内によりパフォーマンスが制限されている可能性が高いです
過回内がアスリートに与える2つの大きな影響
影響① スポーツ障害のリスク増大
過回内は、多くのスポーツ障害の根本原因となります
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
過回内により、すねの内側を走る後脛骨筋が過度に引っ張られ続けます。
この繰り返しのストレスが、すねの骨の骨膜に炎症を引き起こし、シンスプリントの痛みにつながります。ランナーや跳躍系アスリートに非常に多い障害です。
ランナー膝(腸脛靭帯炎・膝蓋大腿疼痛症候群)
過回内により、膝が内側に捻れる動きが生じます。
これが膝の外側を走る腸脛靭帯や、膝蓋骨(膝のお皿)の動きに異常な摩擦やストレスを生み、ランナー膝の原因となります。特に長距離ランナーに頻発する障害です。
足底筋膜炎
過回内によりアーチが崩れると、足底筋膜に過度な伸張ストレスがかかり続けます。
特にランニングやジャンプ動作の繰り返しにより、足底筋膜が炎症を起こし、朝の一歩目や走り始めの強い痛みとなって現れます。
アキレス腱炎・足首の不安定性
過回内により踵の骨が内側に傾くと、アキレス腱に捻れが生じます。
また、足首の靱帯が緩み、着地時の不安定性が増大。足首の捻挫を繰り返しやすくなります。
影響② パフォーマンスの制限
過回内は、あなたの持つ本来の能力を十分に発揮できない状態を作り出します
推進力(前に進む力)の減少
正常な足は、着地時にアーチが適度に潰れて衝撃を吸収し、蹴り出し時にアーチが戻ることでバネのような推進力を生み出します。
しかし過回内では、アーチが常に潰れた状態のため、このバネ機能(ウィンドラス機構)が働きません。
結果として、同じ筋力でも前に進む力が弱くなり、タイムロスやスタミナの無駄遣いにつながります。
運動効率の低下
過回内の状態では、本来働くべき筋肉が適切に機能せず、代わりに他の筋肉が過剰に働いて補償します。
この非効率な動きにより、同じ距離を走るのに余計なエネルギーを消費します。
長距離走では特に大きな影響となり、後半のスタミナ切れや記録の伸び悩みの原因となります。
安定性の欠如
過回内により足首が内側に倒れると、体の軸が不安定になります。
ランニング時の左右のブレ、ジャンプ着地時の不安定性、方向転換時のバランスの崩れなどが生じます。
これにより、正確な動作やスピードのコントロールが難しくなり、競技パフォーマンスが制限されます。
疲労の蓄積
過回内により不適切な動きが続くと、足だけでなく膝・腰・股関節など全身に余計な負担がかかります。
この結果、疲労回復が遅れ、オーバートレーニングのリスクが高まります。
また、慢性的な疲労により、トレーニングの質も低下します。
あなたのパフォーマンス、過回内で制限されているかもしれません
過回内を改善することで、怪我のリスクを減らし、同時にパフォーマンスを向上させることができます。
当院の足専門外来では、歩行分析とスポーツ動作分析で
あなたの過回内の状態とパフォーマンスへの影響を詳しく評価します。
✓ 動画撮影による走行・ジャンプ動作の分析
✓ パフォーマンスへの影響をチェック
✓ 医療用インソールでのサポート
アスリートのための過回内改善アプローチ
アスリートの過回内改善には、パフォーマンスを妨げないことが最重要です。
当院では、競技特性を考慮した3つのアプローチでサポートします。
1. 医療用インソール
アスリートにとって、インソールの重要な条件は「過回内の矯正」「高耐久」「パフォーマンス向上」です。
当院で使用している「フォームソティックス・メディカル」は、わずか19gという驚異的な軽量性を持ちながら、医療グレードの矯正力を発揮します。
医療用インソールの効果
• 過回内を適切にコントロールし、足のアライメントを最適化
• ウィンドラス機構を正常化し、推進力を向上
• 着地時の衝撃を分散し、関節への負担を軽減
• 足の安定性を高め、パワー伝達を効率化
• 疲労を軽減し、長時間のパフォーマンス維持をサポート
• 一人ひとりの足型と競技特性に合わせた完全オーダーメイド
💡 多くのアスリートが実感する効果
「着地が安定して、膝への衝撃が減った」
「蹴り出しが強くなり、タイムが向上した」
「後半の疲労が明らかに違う」
「シンスプリントの痛みが出なくなった」
→ 詳しくは「医療用インソール」をご覧ください
2. 体の動作分析
インソールで足のアライメントを整えた上で、正しい動作パターンを身につけることが重要です。
当院では、動画による歩行分析で、あなたの動作の問題点を可視化します。
分析・改善のポイント
• 着地時の足首・膝の角度
• 蹴り出し時の足の使い方
• 体幹の安定性と軸のブレ
• 腕振りと下半身の連動
3. 足部トレーニング
インソールのサポートを受けながら、足の筋力と機能を高めるトレーニングを行います。
足部安定性トレーニング
片脚立ち、バランスボードなどを用いて、足首の安定性と固有受容感覚を向上させます。着地の安定性が大幅に改善します。
ショートフットエクササイズ
負荷をかけた状態で足の内在筋を強化。アーチを能動的に支える力を高め、推進力の向上につながります。
プライオメトリクストレーニング
正しいアライメントを保ちながら、ジャンプ系のトレーニングを実施。競技で必要な瞬発力と着地の安定性を同時に獲得します。
「動いて作った問題は、動いて解決する」
アスリートの体の問題は、日々のトレーニングと競技の積み重ねで作られます。
毎日の練習。試合での激しい動き。
その一つ一つが、過回内により歪んだ状態で繰り返されることで、
少しずつ、確実に、体にダメージが蓄積し、同時にパフォーマンスが制限されていきます。
だから、解決策も「動き」にあります
過回内を改善した正しい動作で、毎日練習すること。
これが、怪我を予防し、パフォーマンスを根本から向上させる最も確実な方法です。
当院のアスリートサポート
1. インソールで足元を最適化
医療用インソールで過回内をコントロールし、正しい足のアライメントでプレーできる状態を作ります。
2. 動作分析で問題を可視化
動画撮影であなたの走り方・動き方を分析し、どこに問題があるかを明確にします。
3. 正しい動作パターンの習得
インソールでサポートしながら、正しい動作パターンを体に覚えさせます。
4. 練習・競技が「改善」になる
日常の練習や試合が「治療」になります。
動けば動くほど、体が正しい動きを学習し、パフォーマンスが向上していきます。
「動いて作った問題は、動いて解決する」
これが、アスリートのための足病学アプローチの核心です。
痛い場所だけを治療するのではなく、
日々の動作から根本的に改善することで、
怪我のない体と、最高のパフォーマンスを手に入れます。
あなたのパフォーマンスを制限しているのは、
他でもない、今の動作パターンです。
だから、正しい動作を取り戻し、
あなた自身で限界を超えていきましょう!
もちろん、当院が全力でサポートします。
一緒に、怪我のない体と、最高のパフォーマンスを手に入れましょう。
中高生・ジュニアアスリートの皆さんへ
成長期は、足の骨や筋肉が発達途中です。この時期に過回内の状態で激しいトレーニングを続けると、将来のパフォーマンスに大きな影響を及ぼす可能性があります。
「シンスプリントが治らない」「膝の痛みを繰り返す」といった症状は、体からの重要なサインです。
今のうちに過回内を改善し、正しい動作パターンを身につけることで:
✓ 怪我のリスクを大幅に減らせる
✓ 成長とともにパフォーマンスが向上し続ける
✓ 長く競技を続けられる体が手に入る
若いうちから正しい体の使い方を身につけることが、
将来のアスリートとしての成功につながります。
アスリートからよくある質問
Q. インソールを入れると走りにくくなりませんか?
A. フォームソティックスはわずか19gで、ほとんど重さを感じません。最初の数日は足の正しい位置への誘導を感じることがありますが、1〜2週間で体が適応し、むしろ「走りやすくなった」と感じる方がほとんどです。多くのアスリートが「なぜもっと早く使わなかったのか」と言われます。
Q. どのくらいでパフォーマンス向上を実感できますか?
A. 個人差はありますが、多くのアスリートが1〜2週間で足の安定感や疲労軽減を実感されます。タイムや記録の向上は、正しい動作パターンが定着する1〜2ヶ月後から顕著になることが多いです。
Q. 試合用のスパイクにも入れられますか?
A. はい、可能です。サッカー、野球、陸上スパイクなど、ほとんどのスポーツシューズに対応できます。お使いのシューズをご持参いただければ、適合性を確認した上で最適な設計を行います。
Q. インソールの耐久性はどのくらいですか?
A. 使用頻度や競技によりますが、一般的には1年程度使用可能です。激しいトレーニングを行うアスリートでも、医療グレードの高耐久素材により長期間の使用に耐えます。定期的なチェックで状態を確認し、必要に応じて調整や再作製のタイミングをアドバイスします。
Q. シンスプリントやランナー膝が治りますか?
A. 過回内が原因の場合、インソールと動作改善により多くのケースで症状が改善します。ただし、重症度や原因によって個人差があります。当院では詳細な評価を行い、症状に応じた最適なアプローチをご提案します。
Q. 中学生・高校生でも作れますか?
A. はい、むしろ成長期のうちに正しいアライメントを確保することをお勧めします。成長期は足の骨格が発達途中なので、この時期に過回内を改善することで、将来のパフォーマンス向上と怪我予防につながります。学生アスリートの方も多数ご来院されています。
怪我予防とパフォーマンスのアップをしませんか?
過回内の改善で、怪我のリスクを減らし、パフォーマンスを最大化しましょう。
まずは足の専門家による詳細な評価から始めてみてください。
